【第六回・弐】感情性長期
「雪止んだけど寒いねー…ラムちゃん大丈夫? 寒いの苦手なんでしょ?」
除雪車が入ったのか車道の雪が歩道の方に押しやられて人がやっと一人歩ける間隔の道を京助と阿部と緊那羅が一列になって歩いている
「あ…うん大丈夫だっちゃ」
声を掛けてきた阿部に緊那羅が笑顔を返した
「悪かったな阿部」
京助が阿部に言った
「いいのいいのアタシ一番下だから悠の気持ちもわかるし…それに…」
そう言って後ろを歩いている緊那羅を阿部はチラッと見た
「…なんでもない」
途中まで言いかけた言葉を切った阿部に首を傾げつつ京助は【しばのストアー】と書かれた看板が立っている曲がり角を曲がった
「…緊ちゃんは?」
確かに聞こえたのは緊那羅の声だったはずなのにいるのは緊那羅ではなく見たことのない人物で悠助は緊那羅の姿を探す
「緊那羅はいないよ」
クスっと笑った人物を悠助がきょとんとして見上げた
「でも緊ちゃんの声が…」
悠助が言うと
「聞こえたの? …こういう風に?」
笑った口元から発せられた声がグラデーションのように緊那羅の声に変わっていく
「…え…?」
わけがわからないという顔をして悠助が立ち尽くす
「初めまして俺は慧喜…」
そして再び元に戻っていく声
「特技は声真似」
そして今度は京助の声に変わる
「…悠」
京助の声で呼ばれて悠助がピクっと反応する
「俺はお前いらないんだ」
悠助の両手がだらんとなった
「きょう…すけ?」
頭では慧喜が言っているということはわかっているのに心では京助から言われた様な気がした悠助がそのまま慧喜を見つめる
「…俺の大事な人たちを俺から取った…」
京助の声から慧喜の声に変わった
「どう? 大好きなお兄さん京助にいらないっていわれた気分」
満面の笑みを浮かべて慧喜が悠助に近づいた
「嫌だよね? 俺も嫌なんだ」
そして慧喜はしゃがんで悠助と目線をあわせた
「俺は悠助、アンタも嫌いだけど京助も嫌いなんだ」
慧喜が焦点のあわない目をした悠助の頬を撫でた
「だから…」
顔を近づけ悠助の唇に慧喜が唇をつけた
「二人ともいらないんだよ」
しばらく口付けた後 慧喜が口の端を上げて微笑んだ
除雪車が入ったのか車道の雪が歩道の方に押しやられて人がやっと一人歩ける間隔の道を京助と阿部と緊那羅が一列になって歩いている
「あ…うん大丈夫だっちゃ」
声を掛けてきた阿部に緊那羅が笑顔を返した
「悪かったな阿部」
京助が阿部に言った
「いいのいいのアタシ一番下だから悠の気持ちもわかるし…それに…」
そう言って後ろを歩いている緊那羅を阿部はチラッと見た
「…なんでもない」
途中まで言いかけた言葉を切った阿部に首を傾げつつ京助は【しばのストアー】と書かれた看板が立っている曲がり角を曲がった
「…緊ちゃんは?」
確かに聞こえたのは緊那羅の声だったはずなのにいるのは緊那羅ではなく見たことのない人物で悠助は緊那羅の姿を探す
「緊那羅はいないよ」
クスっと笑った人物を悠助がきょとんとして見上げた
「でも緊ちゃんの声が…」
悠助が言うと
「聞こえたの? …こういう風に?」
笑った口元から発せられた声がグラデーションのように緊那羅の声に変わっていく
「…え…?」
わけがわからないという顔をして悠助が立ち尽くす
「初めまして俺は慧喜…」
そして再び元に戻っていく声
「特技は声真似」
そして今度は京助の声に変わる
「…悠」
京助の声で呼ばれて悠助がピクっと反応する
「俺はお前いらないんだ」
悠助の両手がだらんとなった
「きょう…すけ?」
頭では慧喜が言っているということはわかっているのに心では京助から言われた様な気がした悠助がそのまま慧喜を見つめる
「…俺の大事な人たちを俺から取った…」
京助の声から慧喜の声に変わった
「どう? 大好きなお兄さん京助にいらないっていわれた気分」
満面の笑みを浮かべて慧喜が悠助に近づいた
「嫌だよね? 俺も嫌なんだ」
そして慧喜はしゃがんで悠助と目線をあわせた
「俺は悠助、アンタも嫌いだけど京助も嫌いなんだ」
慧喜が焦点のあわない目をした悠助の頬を撫でた
「だから…」
顔を近づけ悠助の唇に慧喜が唇をつけた
「二人ともいらないんだよ」
しばらく口付けた後 慧喜が口の端を上げて微笑んだ
作品名:【第六回・弐】感情性長期 作家名:島原あゆむ