小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

【第六回・弐】感情性長期

INDEX|12ページ/18ページ|

次のページ前のページ
 

「沙紗はもういないんです」
乾闥婆が言った
「沙紗?」
聞いたことのない【沙紗】という名前を京助が呟きながら悠助を撫でる
「……」
迦楼羅が無言のまま乾闥婆を見上げた
「なぁ沙紗って…」
京助が迦楼羅に聞くと迦楼羅が首を横に振った
「…過去の人物だ…ワシにとっても乾闥婆にとっても忘れえぬ…名前」
小さく迦楼羅が言った

「無駄な争いは避けたいと言いましたが…不服そうなので」
乾闥婆の周りをいつかの様に解いた布が飛ぶ
「軽く遊ぶことにします」
にっこりと笑った後その目が慧喜を睨んだ
「…っ…」
慧喜プレッシャーからか一歩後退した
「言っておきますがもう貴方の特技は通用しませんからね?」
怖い笑顔で乾闥婆が言う
「そう…みたいだね」
頭では敵わないとわかっていつつもプライドが許さないのか慧喜が強がって言った
「…俺は…」
慧喜が乾闥婆から目を逸らす
「俺は…」
慧喜が片腕を動かした
「っ…!! 迦楼羅!!」
「ただお二方を俺の元に戻したいだけだッ!!」
乾闥婆が叫ぶとほぼ同時に慧喜が京助と悠助目掛けて三又鈎を投げた

「京助! 避けて!」
乾闥婆(けんだっぱ)の声で気付いた迦楼羅の腕には緊那が
尻餅をついたまま悠助を抱いている京助はすばやく動けずに
「むちゃぬかせ…ッ!;」
悠助を庇うように思い切り抱きしめた京助の前に阿部が両手を広げて立った
「ばっ…阿部!」
「アタシだって…ッ…役に立ちたいッ!」
「娘!」
「阿部さんッ!」
各々の声が混ざって冬の暗くなった空に響く
京助の視界から阿部の白いほんのり赤くなっていた足が消え目に映ったのは赤

そして【どさっ】という音が耳に届いた