WishⅡ ~ 高校2年生 ~
それから毎週土・日、公園へ出かけてみるものの、奏が彼らに会う事はなかった。それもその筈。奏が出掛けていくのは、初めて二人のライブを見た時間……午後一時半頃……。二人が実際にライブを行っていたのは、朝八時。見付けられる筈がない。だが、そんな事は知らない奏はそれでも根気よく、毎週通った。
そして、半年が過ぎた。
「……もしかしたら、場所を変えたのかもしれない……」
この公園を探すのは、今日で最後にしよう。そう思って訪れた【吟遊の木立】。溜息混じりに足を踏み入れたメインストリートで、奏は、その声を耳にする。
♪ 僕らの声が聞こえますか?
初めて聴く曲。だが、二人の声にとてもよく合うメロディー。
二人を探しあて、奏はその人だかりの一番外に立ち止まった。
――――――――――――
やがてライブの終了が告げられた。ほぼ一年振りに見た二人の姿に何だか少しホッとして、奏がその場を離れようと歩き出したその時、
「待って!!」
よく通る声が背後から響き、奏は足を止めた。
作品名:WishⅡ ~ 高校2年生 ~ 作家名:竹本 緒