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無題Ⅱ~神に愛された街~

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Episode.5 隠し事




食料とその他の買い物はあっという間に終わった。
といっても、ヴェクサは何を買えばいいのかさっぱりわからないので、すべて鬨任せだったのだけれども。そのかわり荷物持ちを引き受けていたわけだが、何に入れるんだ、という量があった荷物を、鬨は片方の肩に背負えるサイズの麻袋を二人分用意したかと思うと、そのものすごい量の荷物をその中に仕舞ってしまった。
いったいどうやってその量を詰め込んだのか、実に謎だったので聞くと、
「旅をしていれば自然と身に着く」事らしい。
その後武器をそろえるため武具屋へ立ち寄り、前の銃は売って新しい銃をホルスターに収めた。それなりに長い間使っていた物だけに少し惜しい気もしたが、持っていても荷物になるだけだと鬨に言われ、手を離した。

しかし、それだけの買い物でも街中を歩き回ってしていれば、宿に帰ってくる頃には日がすっかり沈んだ後だった。
夕飯を食べ終え、部屋に帰って来た頃にはもうくたくたで、ヴェクサはブーツを脱いでベッドに勢いよく転がる。

「はー、今日は歩きっぱなしで疲れた・・・」
「そのぐらいでバテてたらこの先が思いやられるな」

言いながら刀をはずしてベッドのわきに置く鬨を横目に、

「言ったな?すぐ鬨の体力なンて追いぬいてやるぜ」
「望むところだ」

挑発的に口元を歪めた鬨に、ヴェクサも同じような表情で対応する。
しかし、その表情はやはり二人同時に微笑に変わった。

「流石にもう遅い。今日はもう寝よう」
「おう」

外套を脱ぐと、自分のベッドに入ってさっさと寝る体制に入った鬨を見て、少し思案するように鬨の背中を眺めた後、ヴェクサも上布団をかぶった。


作品名:無題Ⅱ~神に愛された街~ 作家名:渡鳥