無題Ⅱ~神に愛された街~
Episode.11 新
日が昇った頃、いつも通り自然と目を開けて起き上った鬨は、隣のベッドで熟睡している様子のヴェクサを起こしにかかった。
「ン・・・もう行くのか?」
熟睡していた様子の割にはあっさりと起きたヴェクサに、「服を取りに行くからな」と身支度を整えながら鬨が言う。
「あぁ・・・なるほどな」
まだ眠いのだろう、欠伸をしながら言うヴェクサに頷いて、
「さっさと顔を洗ってこい。おいて行くぞ」
そう言ってヴェクサを急かし、準備を済ませた鬨自身は早々に部屋を出て行こうとしていた。
「ちょ、待ってろって!」
慌てて洗面所に掛け込むヴェクサに、鬨は苦笑して開けかけた部屋の扉を閉めた。
作品名:無題Ⅱ~神に愛された街~ 作家名:渡鳥