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【三題話】幸せは不幸を連れてやってくる

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「カードを出すときは、校長にきまっとるだろうが。宮司が、学校の成績を話すわけにはいかんじゃろ。TPOをわきまえんとは、我が孫ながら情けない」
 宮司から校長に戻っても、達彦は唇はとがらせたままだった。
「じいちゃん、休み中補習ってことは……巫女のバイトは?」
「このままじゃと、無理じゃなあ。ワシもオマエの巫女装束は見たいんじゃが」
 ちらちらと美琴を見ながら、達彦が言う。
「そ、そんなの困る!」
「困ると言われてもなぁ。あぁ、あぁ、見たかったのぅ」
 ドゲシッ!!
「こ、この姑息ジジィっ!! 交換条件があるんでしょ!? さっさと言いなさいよぅ!」
「人を足蹴にしつつ交渉とは、我が孫ながら容赦がないのぅ。小さいころはあんなに可愛かったのにのう。小さいころはおしめを替えて……」
 ドゲシッ!! ドゲシッ!! も一つ、ドゲシッ!!
 くっきりと顔に足跡を刻み込まれた達彦が、ピヨりながら腰を着いた。
「肉親でなかったら、穴を掘って埋めるところよ!」
「……半分ぐらい棺桶に脚を突っ込まされた気がするがのう」
「半分で済ませたんだから、感謝してよね」
 美琴はぷいっと顔を背け、……鳥居の陰に隠れたミチルに目をやった。
「あ、相変わらずやなぁ……」
「いつものことよ」
「でも、交換条件を聞く前に蹴ってよかったんか?」
「だぁいじょうぶ。交換条件を出さなかったら、もう半分も棺桶に入れてあげるだけだから」
 腕を組み、バンバンバンと地面を踏みしめる美琴。目がキラリとやばげに輝いている。
 ……達彦は大きく息を吐いた。
「仕方ないのぅ。オマエの白いパンツに免じて教えてやろうかのぅ」
「あーーーっ!」
 美琴は、慌ててスカートを押さえた。スカート履いて相手の顔を足蹴にすれば、当然の帰結だった。
「とりあえず、巫女の修行に励んで貰おうかのう。……ミチルには、別な仕事を頼もうかの。思いついたら電話するぞい」
「ウチもオーケーなん!?」
「おおとも。年越しと正月に主力巫女が2人抜けるのは致命的じゃからな」
 親指を立てた達彦の手を、ミチルは両手で掴んだ。
「おおきに! 今年の年越しは特別やから……勉強で終わらせたくなかったんや」
「ミチルぅ、特別ってどういうこと? 何かあるの?」