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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第六回】探し物はなんですか?

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「…し…柴田…さん?;」
ザカザカパキパキ音をさせて藪中を京助に向かってきた柴田
「引っかかったね京助君」
にっこり笑って柴田が言う
「…って」
今度は上からガサッという音が聞こえて同じく京助は腕を掴まれた
「おや…」
柴田が京助の腕を掴んでいるもう一人を見る
「制多迦(せいたか)…」
髪に葉やら小枝をつけた制多迦が京助の腕を掴んでいた
「ついて行っちゃ駄目だよ京助」
後ろから声が聞こえて振り向くとそこにいたのはチシャ猫の格好をした通称【チシャねこんがら】
よくよく見ると制多迦にも黒い猫のような耳を尻尾があった
「他のみんなは?」
腕を二人につかまれたまま京助が矜羯羅に聞いた
「あの二人のと3ケンジャー坂田なら大丈夫…」
フッとチシャねこんがらが笑った
「俺が先に見つけたんだけどな」
そう言いながら柴田が京助の腕を思い切り引っ張った
「だッ!;」
京助がよろけて柴田の方に傾くと今度は制多迦が京助の腕を引っ張る
「だッ!;」
そして今度は制多迦の方に傾いた京助をまた柴田が引っ張る
「放してくれるかな?」
柴田が言っても制多迦は無言のまま引っ張っている
「いてーって!!; いてーってッ!!;」
綱引きのごとく両腕をひぱられて京助が声を上げる
「ハイそこまで」

(ス) パパーン!!

という軽快な音がして京助の両腕が解放された
「ひどいなぁ;」
柴田が頭を押さえて言う
どうやら誰かに頭を叩かれたらしく制多迦も頭をさすっている
「…誰も呼んでないんだけど?」
チシャねこんがらがそう言うとパチパチッと何か電気のようなものが小さくはじける音がした
「ええ。少なくとも貴方には呼ばれていませんよ? むしろ呼ばれても来ませんけど」
薄い水色の布が風に靡いて座り込んでいる京助の顔に当たった
「誰が君を呼ぶって?」
パチパチッという音が今度は少し大きくなって聞こえた
「さぁ誰でしょう?」
手に握られていたのは何処から持ってきたのか【正月中】と書かれた来客用のスリッパ
「そんなので叩かれたのか;」
柴田がスリッパを見て溜め息をつくとその人物が手に握っているスリッパをもう片方の手にポンポン叩きつけゆっくりと振り返る
「乾闥婆…;」
にっこりと微笑んでいるにもかかわらずその笑顔は何故か怖い
「少し黙っててください」
柴田に向かって乾闥婆が微笑んで言うと柴田にもその怖さが伝わったのか後ずさりして頷いた
「何しに来たの?」
チシャねこんがらが微笑んで乾闥婆に聞いた
しかしその後ろでカミナリが落ちそうな勢いで鳴いているように思える
「貴方には関係ないでしょう?」
乾闥婆も笑顔で返した
しかその後ろでは同じくかカミナリが落ちそうな勢いで鳴いているように思える
「そう…」
チシャねこんがらの眉毛がピクッと動いた
「ええ関係ないですので口挟まないで下さい」
乾闥婆が眉をピクピクさせて微笑んだ
「…ょうすけ;」
制多迦が京助の肩を叩くと京助が頷き柴田の手を取って木の後ろに隠れるとまもなく特大のカミナリが落ち(たように思え)た
「…どうするよ;」
ゴロゴロという雷の音が聞こえてきそうな背後を気にしつつ京助が制多迦に聞いた
「…うしよっか;」
ソレに対して制多迦が苦笑いを返す