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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第六回】探し物はなんですか?

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「やーやー!! 有難う有難う」
坂田がゼンとゴの間を通って京助の前に来た
「南と中島には会ったんだろ?」
何故か夏服の坂田が京助に聞いた
「あ…あぁ…はぐれちまったけどな…」
「不安だったろ?」
京助がしどろもどろ答えを返すと間髪いれずに坂田が次の質問をしてきた
「いきなり一人になるってのは」
坂田が言うと一同が京助に注目した
「中学生の俺らだって不安で寂しいだろ? 小学生の悠は?」
坂田がまた付け足す
「俺は昔お前が大嫌いだった」
坂田の言葉に京助が目を大きくして驚いた
「お前が羨ましくて大嫌いだった」
辺りが静まり返ったかと思うと京助は一人白い空間に立っていた
目に入ったのは真っ白な人
髪は長く銀に近しい青い色
「坂田…? ゼン? ゴ!? 制多迦!! 矜羯羅…ッ!;」
辺りを見渡し叫んでもただ白いその空間に声が吸い込まれていく

『…あぁ…また…』

頭に響いた声に京助が振り向く

『こないで…来ては駄目なの…ごめんなさい…ごめんなさい…』

ついさっき聞いた女性の声

『私は…私はただ抱きしめて…抱きしめてほしかっただけなの…ッ!!』

だんだんと大きくなってくるその声に京助は耳を塞いだ
どれくらい耳を塞いでいたのか手を離した京助の耳に聞こえたのは微かな歌声
「…この歌…さっき…」
海の上で窓の外から聞こえた歌が聞こえた
顔を上げると目の前には大きな鳥かごがあり中には白い布を頭からかぶった人がいた
「あの…」
京助がその人物に声を掛けると歌が止んだ
「…ここは…?」
京助の質問が聞こえたのかその人物がゆっくりと京助の方を向いた
「正月町…」
「あ、そ;」
やはり変わらない質問への回答に京助が溜息で苦笑いする
「待ってたっちゃ京助…」
その人物が鳥かごの柵に手つくと口元だけにっこり笑った
「おま…緊那羅ッ!?;」
頭にかぶっていた布を取るとその人物は摩訶不思議服を着た緊那羅
キィと音を立てた鳥かごを京助が見上げた
一体何処から下がっているのかそれは【アルプスの少女ハイジ】のOPのブランコ並の謎だった
「待ってたって…いったよな?」
京助が緊那羅に聞いた
京助が聞くと緊那羅は頷いて口を開いた
「子守…歌?」
緊那羅があの日縁側で歌っていた歌
緊那羅が沙織を泣き止ませるために歌った歌
その歌は【子守唄】ではないのかもしれないけれど京助には【子守唄】に思えた
何を歌っているのかわからないが妙に頭に残るその旋律
緊那羅(きんなら)の歌声が響く中京助は頭の中で一瞬誰かの声を聞いた

『ごめんな』

若い男の声
ハッとして辺りを見渡すと緊那羅の歌がいつの間にか止んでいた
「何…」
京助が呆然としたまま緊那羅を見るとそこに緊那羅の姿はなく大きな鳥かごの中には
【上を見ろ】と書かれた布が一枚ヒラヒラと風に靡いていた
「…上?」
京助が上を見上げると今度は空一面に【下を見ろ】という言葉が書かれていた
「…下?」
そして書かれてあるがまま下を向いた京助の目に入った次なる言葉
【ざまぁみろ】
「……」
沈黙してその【ざまぁみろ】という言葉を見つめる京助
「引っかかったね」
ガサッという音とともに現れたのは