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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第六回】探し物はなんですか?

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「あ」
一同がそろって声を上げた
京助が投げた迦楼羅が綺麗に弧を描き窓の外、海にトポン
「…やっちゃった…?;」
振り向いた京助の顔は不二家のペコちゃん風に舌を出してウインクをしたオチャメな顔だった
「まぁ…いっかなんだやな」
ゼンが笑っていうと一同が頷いた
「では改めて正月町を目指すんだやなッ!」
航海士ゴが声を上げた
「それにしても何でこの二匹がさらわれたんだ?」
京助がコマとイヌ見た
「何か共通点…とか心辺りとか…」
京助の言葉にコマとイヌが顔を見合わせて首を横に振った
「ぜんっぜんないんだやな」
ゼンが変わりに答える
「でもさらわれたって言うからには…」
「ば-------------------か」
京助の質問を遮って南と中島(の声)がハモった
「まだわかんないのかお前」

南がゆっくり歩いて京助の前まで来ると鼻の頭に指を突きつけた
「この二人とそこ二匹ぱっと見どんな関係に見える?」
中島(の声)が京助に聞いた
「どんな…?」
「なんか…兄弟みたいだっちゃね」
緊那が京助の横で呟いた
「兄弟?」
ゼンとゴが顔を見合わせるとニカっと揃って笑う
コマとイヌが顔を見合わせると揃って尻尾を振った
「ピンポン! さっすがラムちゃん!」
南が緊那羅を指差して言った
「ゼンとゴはじゃれ合いが兄弟っぽいですし、コマとイヌは容姿がソックリですからね…傍から見れば兄弟…でも通じますし」
乾闥婆が言う
「つまり…悠はお前が恋しいんだ」
南が京助に言った
「そ、お兄ちゃんッ子だしな」
中島(の声)も言う
「わかんだろ? 大好きなものを横取りされるカンジ…俺にも話してたじゃん【悠が生まれたときハルミさんをとられたような感じがした】ってさ」
付け加えた中島(の声)に京助が動きを止めた
「確かに…沙織ちゃんが来てから悠助の様子がおかしかったっちゃ…私…全然気がつかなかったっちゃ…」
緊那羅が俯いた
「悠はお前を待っているんだ」
中島(の声)が強く言った
「だから追いかけてつかまえてやってくれ」
南がにっこり笑って言う

「あっ!! 駄目だよ! そんなもの食べちゃっ!!」
窓の外から聞こえた人の声に一同窓の外を見る
「だーっ!!; 喰うな!! 離さんか!! たわけッ!!; …というかそんなものとはなんだそんなものとはっ!!; だ--------------っ!!;」
さっき海に落ちた(正確には投げられた)迦楼羅の怒鳴り声と共に迦楼羅が窓に四角い枠内に姿を見せた
「…何アレ」
そしてその迦楼羅の服の裾を齧って(?)いる何だかよくわからない生き物(?)
「駄目だってば! そんなもの食べちゃおなか壊すよぅ!!」
ザッパァーンという水しぶきを立ててその生き物が太陽の光を浴びながら迦楼羅に向かって大きく口 (?)を開けた

「だ----------------ッ!!;」

ピィ--------ッ!
まさに迦楼羅が食われようとしたときに乾闥婆が何処から取り出したのか笛を吹いた
「ここはあなたの来るべき場所じゃないハズですおとなしく森へお帰り?」
乾闥婆がその生き物 (?)に向かって声を掛けると何処からともなく聞こえ始めた曲
…ランランララランランラン♪ランランラララン♪
「…ナウ●カ…」
京助と南、中島(の声)がハモって言った
乾闥婆の声が聞こえたのかその生き物 (?)は乾闥婆の近くにやってきた
「いい子ですね」
乾闥婆(けんだっぱ)がその生き物を撫でると
「キャサリンに触らないで!!」
またあの声が聞こえた
「キャサリン~?」
一同がその生き物 (?)を見、そしてその生き物 (?)を【キャサリン】とと呼ぶ声の主を探す
「キャサリンは私のなの!」
その声と共にその【キャサリン】という生き物 (?)が大きく口を開けると中から出てきたのは

「宮津…さん?」
「わんっ!!」
コマが宮津を見るなり吠えた
「何? お前知ってんの?」
京助がコマに聞くとコマが唸る
「コイツがコマとイヌを連れて行こうとしたらしいんだやな」
「コイツが…?」
ゼンが答える
「どうしてコマとイヌを連れて行こうとしたんだやな?」
ゴが宮津に聞く
「…【時】が来たから…悠助君が寂しがってるから」
宮津が【キャサリン】に顔をくっつけて小さく言った
「悠助君はね…もう京助君は自分が要らないと思ってるんだよ…だから新しい【京助】を私が見つけてあげるって約束したの」
京助が止まった
「寂しさが【時】を早めたの」
宮津が京助を見た
「二つの心離れれば離れていくだけ【時】は早く近くなる…」
宮津の髪がだんだんと伸びて床についた
「嫉妬に駆られ孤独になれば誰だって甘い声にすがりたくなるでしょう?」
声がだんだんと変わってきていつしか宮津の声は聞いたことの無い女性の声になっていた
「寂しかったの…寂しくて…抱きしめて欲しかったのに!!」
何かがはじけて宮津だけど宮津ではない誰かがあげた悲鳴にも似た声に京助は耳を塞いで目を閉じた
「…どうして…【私】じゃなく………」
小さく消えていく声が京助の頭に残った