WHITE BOOK
正面にある窓の向こうは、もうすでに暗くなっていた。電気のついていない廊下も薄暗く、その中で想楽の右手に宿った白い光が映えている。ホールからは覆面たちの声も聞こえないが、外で赤い光がちらつき、拡声器の声も聞こえることで、まだ事件が解決していないことが分かる。
想楽は何とかして気付かせようと、階段を踊り場の手前まで降りた。そして階下に右手を向け、白い光をちらつかせる。相手がこっちを向いていればこれで気付くだろう。
思惑通り相手はこちらに気付いたようで、下が少し騒がしくなった。
「今、上に何か見えなかった?」
覆面のうちの女性の声だろう。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ