WHITE BOOK
「桜木想楽の名において命ずる。白き息吹よ、邪悪を打ち消し清きを護れ――」
本を閉じたまま、想楽は覚えたとおりの真白障壁の詠唱までを唱えた。たちまち体内の魔力が暖かいものに変換され、ペンを持つ右手に集束し、そして真っ白な光となってペン先に具現した。純粋火炎と違い、今度ははっきりと目に見える光だ。
覚えた呪文が合っていたことも確認でき、魔法を使っている実感がより湧いてきたところで、想楽は慈愛乃闘神を開いた。そこにはエリカからの言葉が書いてあった。
《想楽様ならきっと大丈夫です。我もついておりますし、自信を持ってがんばってください。》
(ありがとう、エリカ。私、負けない!)
エリカにうなずき、ゆっくりと入り口のドアを開けた。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ