WHITE BOOK
忍び足で階段を上り、鍵の開いていた201号室に入った。中の作りはほとんど一緒だが、ここを使っていた人は水属性のスパイラルかジュエラルを練習していたのだろう、地面は水浸しだった。
万が一のために、奥にある掃除用具入れに身を隠した。もっと精神的に余裕があれば、小学校のかくれんぼみたいだと冗談も言えたのだろう。扉を閉めると、一気に視界が暗くなった。
この状態だと白本の字は読めないけど、仕方ないよね。
そう思考したとき、白本の表紙に書いてある想楽の名前が、淡く青い光を放っているのが見えた。扉の隙間から光が漏れないように配慮しているのか、前のときよりもずっと控えめな光だ。
本を開いてみると、そこに書いてある字もかすかに光を放っていて、暗闇でも読むことができた。
《想楽様の精神であれば、触れている間は読むことも可能ですし、我もこのように想楽様に読めるようにいたします。》
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ