WHITE BOOK
2人が借りた部屋は203号室。3階建てのうちの2階、上がった階段から一番遠い部屋だ。
中は殺風景だが広く、ダーツの的のようなものから太い丸太まで、いろいろなものが壁に立てかけられていたりして角にまとめてある。高い天井から壁まで、いたるところに傷や焼けた後があり、前知識がなければ戦場だったのではないかと思わせる。外から見ても中の想像がつかなかったことから、この建物の耐久性が伺えた。
部屋に入って扉を閉めてから、想楽はソアラのほうを向いて、言った。
「ソアラの魔法――螺旋法術、近くで見せてもらえないかな?」
「えっ?うんいいけど、なんで?」
「その……私、こういうのに目がないからさ。」
もじもじしている想楽に、ソアラは笑いかける。
「分かった。じゃあさっきあいつらに使ったのでいいかな?」
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ