WHITE BOOK
すべての欄を埋めて――種族はフィアルにしておいた――受付に渡す。
「確かに承りました。料金は前払い制となっておりますが、ご一緒でよろしいでしょうか?」
部屋の鍵を受け取っていたソアラが頷く。
「うん、いいよ。あぁ、これでお願い。」
それから空いた手でワンピースの襟首から何かを取り出した。
十字架を模したペンダントのようだ。クロスの中央には、なにやら紫色の石が埋め込まれている。それには何か特別な意味があるのだろう、受付はソアラに向かってにっこりと微笑んだ。
「お仕事だったのですね、ソアラ様。」
ソアラはペンダントを服の中に戻しながら答える。
「うん、まぁね。もうちょっとしたら、教会から何か声が出ると思うよ。」
教会という言葉が出たから、もしかしたらファルシア教、そしてエランドの関係なのかもしれない。仕事というのがよく分からないが、どうにせよソアラは有名なんだな、と改めて実感した。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ