WHITE BOOK
「この円とは別に、光と闇があるよ。お互いに強くてお互いに弱いって感じなんだ。」
円の横に「光」と「闇」、両矢印を付け足すと、その紙を冊子から切り離し、想楽に手渡した。
「覚えるまで持ってたらいいと思うよ。」
渡されたメモをしっかりと確認しておく。この世界では基本なのだろうから、できるだけ早く覚えたほうがいいだろう。
――ソアラの字、美姫の字に似てる――
「……あ。」
ここにきてようやく。美姫のことを思い出す。最初ここに来た時にはきちんと覚えていたはずだが、別に覚えることが多すぎて、頭の中から排除してしまっていたようだった。
「どうしたの?」
固まってしまった想楽に、ソアラが聞いた。
「それが私、友達をこっちに連れてきてるんだけど。私と同じ服装をしてる女の子、いなかった?」
うーん、とソアラは考える。
「あたしは想楽しか見かけなかったよ。もしかしたら別の白本のところに飛ばされたのかもね。」
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ