WHITE BOOK
男はセイファーの顔を見る。それから足の先まで見下ろし、再び顔を上げた。その表情は、
「……男?」
明らかに疑問を示すものであった。
「ええっ、あなたも間違えるんですかぁ?」
セイファーはそう言うが、美姫は男の気持ちが身にしみて分かっていた。やっぱりあたしの目は間違ってなかったんだ、と逆に安心させられた気までするほどだ。
「間違える……というか、本当に男か?」
「男なんですってばー。」
焦りを見せながら主張する態度もやはり女々しく、男の疑問はますます深まるばかりだった。
「まぁ、もし本人だとするなら――」
納得した――態度をしているだけかもしれない――男は、ようやく本題に移った。
「真っ白な本を持っているはずだ。」
あっ、と美姫とセイファーの声が重なる。セイファーが小脇に抱えていた本を男に示した。
「これのことですか?」
男が近付いて、本を確認する。表紙の英単語は「Safer Liberty」。
単語とセイファーを交互に見てから、男はあからさまなため息をついて言った。
「本当にこいつに、世界救えるのかよ、ミルム……?」
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ