WHITE BOOK
「それじゃあ美姫さんは、この世界にとっても、ぼくにとっても違う世界の人なんですね。」
美姫はセイファーに、今まであったことを話した。しばらく頷きながら聞いていたセイファーが辿り着いた結論がこれだ。
「そうだと思う。あたしの世界には、そんな魔法みたいな力はないんだし。」
「そうなんですかぁ……。」
セイファーはまた何かを考え始める。どうしたの?と美姫が声をかけると、一言こう呟いた。
「それじゃあ、ここがどこなのかは分からないままってことですよね。」
「あ……そっかぁ。確かにね。」
美姫とセイファーはほぼ同時に肩を落とした。
しばし途方に暮れていると、近くで茂みの動く音が聞こえた。
「まさかさっきの2人、起きたのかな?」
言って2人組のほうを見遣る。
「それはなさそうですけど……誰かいるんでしょうか?」
2人してきょろきょろとあたりを見回すが、人の姿は見当たらない。そうしてまた疑問符を出した、そのときだった。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ