WHITE BOOK
「ぼくのいた世界?」
自分より身長の低いセイファーを、少し見下ろすようにして美姫が言った。
「えっ、じゃあまさかセイファーもこの世界の人じゃないの?」
「も、なんですか?」
セイファーも今度はきっぱりと見上げてくる。
「確かにぼくはこの世界の人じゃないですよ。」
言いながらセイファーは自分の背中側に手を回す。一瞬だけあの山吹色の光を見せた後、正面に戻された手には、1冊の本が握られていた。
それを見て、美姫は目を見開いた。
「この本に来てほしいと言われて、連れてきてもらったんです。美姫さん、何か知っていますか?」
「それ……まさか、」
美姫よりもはるかに白いその手に握られていても、なおその白さが際立つ真っ白の表紙にライトグレーで書かれた、少し丸みを帯びた英単語はおそらくセイファーの名前。持ち主は明らかに違うが、間違いなく――
「想楽がもらったって本と、同じやつだ!」
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ