WHITE BOOK
男。
人間の性における、女ではないほう。
つまりは美姫とは違う側であるが、目の前にいる「彼」は、あまりに男性には見えない。
「えええぇぇーっ!?」
美姫の叫び声に驚いて、何羽か小鳥が飛び立った。
「そ、そんなに見えないですかぁ?」
相も変わらずのソプラノでセイファーが聞いた。
「見えない見えない!その顔でその声でその格好は絶対女の子にしか見えないって!」
「そうですかねぇ……?」
必死で弁論する美姫を、セイファーは上目遣いで見ながらもじもじしている。その仕草までもいちいち女の子なのに間違えないほうがおかしい、と美姫は思った。
ただ、次に発したセイファーの一言で、思考はまったく別のものに切り替わった。
「ぼくのいた世界では、間違えられたことないんですけどねぇ……。」
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ