WHITE BOOK
少女は何も言わず光を解き放つ。光は大きな盾となり、雷と美姫達の間に突如として出現した。
盾と雷が接触する。それは光であるはずなのに、雷はそこから先へ進むことができずとどまっている。
男が表情を変えた。
「さっき防がれていたの、分かりませんでしたか?」
少女の声の調子はほとんど変わらない。いたって冷静、それどころかこの状態を楽しんでいるようにも聞こえる。
今度は左の手の平から同じ光。その光と共に、先程男が生み出した雷の粒と同じものが姿を現した。
「“消しておいた”1回目と一緒に、お返ししますね。」
少女は2回分の雷をその光で支配し、自在に指で操ってみせる。その事象が信じられないのは、美姫だけではないようだ。
「なんだと!ミルムが操作を使うなんて聞いてないぞ!」
「しかも、光属性じゃなかったっすか?先パイの雷は操作できないはず!」
半端ない慌てっぷりを見て、少女は呟いた。
「この人達、ぼくを誰と間違えてるんでしょうか……。」
そう言い終わるのが早いか、その手から2回分の雷が放たれたのが早いのか。いつの間にか雷は2人組の身体に触れていて、けたたましいショート音を響かせていた。その音にかき消されて2人の叫び声は聞こえない。
ちょっとした時間差の後に、全ての雷をその身に受けた2人組は、大きな音を立ててばたりと倒れた。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ