WHITE BOOK
2人組は金髪の少女をビシッと指差し、言った。
「さすがは守護珠術(じゅじゅつ)のエキスパートと言われるだけはあるな、ミルム・リングル!」
「おとなしくオイラ達に捕まるのが身のためっすよ!」
「え?」
瞬時振り返った少女の声が裏返る。名前が違うだろうから当然の反応なのではあるが。
「ぼく、そんな名前じゃないんですけど……。」
小さな声で否定を告げる。が、美姫との違いですら分からなかった彼らには言っても無駄だろう。現に2人はすでに臨戦態勢である。
「仕方ないですねぇ。」
少女はため息と共に、先程よりも小さな声で呟いた。
「ぼくの後ろにいてくださいね。」
振り返りはしなかったが、それは美姫にかけた言葉。腰が抜けて立つことのできない美姫は、また頷いて肯定。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ