WHITE BOOK
「危ないじゃないですかぁ!」
少し語尾を伸ばした調子で、少女のソプラノの声が言った。
「女の子1人に大の大人が2人がかりなんて、卑怯ですよ?」
2人組に言った少女は、顔だけを美姫のほうへ向ける。その瞳は深い深い黒。どうやら、写真の女の子とは別人のようだ。
「大丈夫ですか?」
声だけ聞くと気弱な少女だ。まだ混乱している美姫は、カクカクと縦に頷いて肯定を伝える。
2人組の女のほうが持っている写真を見ながら、2人はまた考えている。
「もしかしたら、この女がミルムなのかもしれんな。」
「そうっすね。」
確かに美姫よりは写真の女の子に似ているが、やはりこの2人は人を見分ける能力がないようだ。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ