WHITE BOOK
2人の間に立つソアラは、右手に握られた炎の剣を思い切り振り上げた。すると、剣は大きく燃え広がり、青い空を赤く染め上げた。
一瞬、何が起こったか分からなかった。
ただ、その炎が収まったとき、ソアラはまったくの無傷のようだった。地面の穴も増えた様子がない。
その間はたったの数秒であったはずだが、これから先もこの数秒を鮮明に思い出すことができそうな程、想楽の目に、心に焼きついていた。
長年夢に見たもの。
「魔法……!」
ソアラの無事を喜ぶと同時に、その目で魔法を見ることのできた感動と喜びが心を支配していた。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ