WHITE BOOK
どうしたらいいのかな。
残された想楽は、ソファーに座ったまま考えていた。
「喧嘩……って、そこまでひどい喧嘩なのかな?」
窓から覗いて一瞬で分かるような喧嘩なら、それは殴り合いの喧嘩なのだろうか。今までそのような場面に遭遇したことはないが、それなら確かに危険な状態だろう。
「そういえばソアラ達、何も持っていかなかったよね?大丈夫かな……」
その思いが、想楽を窓のほうへと導いた。
窓から身を乗り出してみる。その景色は廊下の窓とは当然違うものだが、屋根はカラフルで、高い建物が見当たらないことは共通していた。
このベーカリーの前で世間話をしていただろう2人の女性が向いている方向は、想楽から見て右側の公園。想楽は手前側に見える大きなアスレチックのところで眠っていた、とソアラから聞かされていた。
もう半分、奥側に見える開けたグラウンドに目をやった瞬間、想楽は白本の挨拶を見たときのように見事に固まってしまった。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ