WHITE BOOK
しばらく想楽の質問とソアラの説明とで時間が過ぎた頃、扉を叩く音が聞こえた。
「失礼します。」
入ってきたのは、想楽が最初に出会ったこの世界の人だった。スラリとした身丈と整った顔立ちの彼は、男は心で決めると言い張る想楽から見てもかっこいい。帽子を被っていたため分からなかった彼の髪は、ソアラと同じ鮮やかなブルーだった。
「お昼をお持ちしました。」
彼は手に持っていたお盆をテーブルに置いた。
2つ乗ったプレートの上に、大きめのロールパンが2つずつ乗っている。そういえば、最初会ったときに取り出していたオーブン皿に、似たようなものが並べてあった気がした。
それを見たソアラが目を輝かせて言った。
「やった!あたしこれ好きなんだよね。ありがとね、お兄ちゃん。」
どうやら彼は、ソアラの兄であるらしい。
だが想楽は、妙にかしこまっている彼が本当に兄なのか疑ってしまっていた。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ