WHITE BOOK
なぜこうなったかは知る由もない。
ただ、あのゲームの主人公と同じ髪の色は、彼女と同じ名を名乗ることに、違和感をまったく覚えさせなかった。
「そういえば、想楽の髪って黒かったよね。」
後ろからソアラの声が飛んでくる。鏡に映る自分の姿から目を離し、振り返る。
「うん……でも、何で?」
なんでだろう、とソアラは考える。
「なんでかは分かんないけど、黒髪はこの世界には珍しいね。あたしの友達には2人いるけど、ほんとに滅多にいないらしいよ。」
「じゃあ私が、この世界に適した姿になったっていうことかな?」
「たぶんね。」
そしてソアラはゆっくり立ち上がり、想楽に歩み寄る。
「あたしは、この世界で白本の使徒を導く役目もあるんだ。これからもよろしくね、エアル!」
新しい名前で呼ばれた想楽は、差し出されたソアラの右手を握った。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ