WHITE BOOK
うーん、と想楽は考え始める。
ゲームの主人公の名前ならいくらでも考えてきた。それでもまさか、自分が使う名前を自分で考えることになるとは思わなかった。
どうせなら、名乗ってて違和感ない名前がいいよね。
考えながら、頭の後ろに垂れ下がっているポニーテールの先を指先に絡ませる。これは想楽が考え事をするときの昔からの癖だ。
「……え?」
そこで想楽は、自分に起きた変化に気付くことになった。
指に巻きついているはずの、自分の髪への違和感。
「ソアラ、鏡借りていい?」
「え?うん、いいけど。」
鏡台の前に立つ。正面の扉に手をかけ、その三面を開いた。
「決めた。私のフィアル名は――エアル・チェリー。」
どうして今まで、こんな大層な変化に気付かなかったんだろう。
窓から差し込む太陽の光が照らす想楽の髪は、空に広がる色と同じ水色だった。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ