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　それから想楽は、この世界に関する基本的なことをソアラから教わった。

　epochと呼ばれるこの世界には、ソアラのような黄色人種で右手の人差し指に黒い螺旋模様がある種族「フィアル」と、白色人種で右手の甲に宝石のようなものが付いている種族「ディアル」の、２種類の種族がいるらしい。それぞれ「聖族」「羅族」とも呼ぶらしいが、黄色人種でどちらかと言うとフィアルに見える想楽は、前者を使ったほうが自然かもね、とソアラ。

「それとね、epochの全ての人は、名前が２つずつあるんだよ。」
「２つ？じゃあソアラも名前が２つあるの？」
「うん、そうだよ。」
　ソアラの苗字はリクルーネ。この名前はフィアルがよく使うフィアル名で、ディアルがよく使うディアル名でのソアラの名前は「琉谷ソアラ」という。
「まぁ、あたしの場合はファーストネームが同じだからいいんだけど、時々フィアル名とディアル名で全然違う人もいるんだ。」

　英語のようにファーストネームが先に来るのがフィアル名。日本語のように後に来るのがディアル名。これもそれぞれ「聖名」「羅名」と呼ぶらしいが、種族で呼び分けているのだろう。
　想楽の名前はどちらかというとディアル名になる。
「想楽もフィアル名を考えておいたら、後々役に立つかもね。」