WHITE BOOK
開いた本には、こう書いてあった。
≪想楽様には、魔法の存在しない明国において人一倍魔法を信じる力が強く、さらに魔法に関する様々な知識がありますので、より我を有効に使いこなせるだろうと判断し、選ばせていただきました。≫
確かに、魔方陣だとか呪文だとかの知識には自信がある。それをどうして知っているのかは分からないのだが、魔法の本だから何でもありなんだろう、と自分を納得させた。
「本を使いこなせることが、この世界を救うってことにつながるのかな。」
「そうなんだろうね。で、白本が選んだ人に本を届けるのが、あたしの役目だったわけ。別の世界から来たってことがばれちゃまずいだろうから、あんな格好してたわけだけどね。」
「確かに。すぐニュースになって広まるだけだから、賢明な判断だったと思うよ。」
想楽は年単位で帰ってこないジャーナリストの父を思い出し、苦笑いしながらそう言った。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ