WHITE BOOK
ああそうか、と想楽。
「ソアラじゃなくて、この本が私を選んだのか。」
言ってみて、ひとつ疑問が頭をよぎる。
「じゃあ、この本には意思があるの?」
ソアラはカップをソーサーに戻しながら答える。
「そうだね。確かに白本は意思を持ってるとされてる。まぁ質問にも答えるしね。持ち主が触れている間は、持ち主の五感を共有するんだって。どういう仕組みかは分かんないから、魔法の本で片付けちゃうしかないんだけど。」
どうやらソアラも、これが魔法の本であると認識しているようだ。
説明に相槌を入れながら、想楽は自分の前に置いてあるカップを右にずらし、その位置に本を置いた。
「じゃあ、今までの私達の会話も聞いてたってことだよね。」
「想楽がずっと持ってたから、そうだろうね。」
「聞いてみる。……あんたが、私を選んだのはどうして?」
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ