WHITE BOOK
それは、今までただの女子高生だった想楽にとって途方もない言葉だった。
「救う……って、私が?」
「うん。」
いとも当然であるかのようにソアラが頷いた。
「具体的にどう救うのかは知らないんだけど、とにかくこの世界が危ない状態にあって、それをホワイトブック――白本(はくほん)とも言うけどね――が選んだ異世界の使者が何とかするんだって。」
えらく曖昧でいい加減な表現で述べられるソアラの言葉から、一切の危機感を感じることができない。とにかく、今想楽が抱えているこの本が「ホワイトブック」と呼ばれていることだけは理解できた。
「ホワイトブック……そのまんまだね。」
「うん。まぁちょっと長いし、白本って呼んだほうが楽だけどね。」
想楽は率直な感想を述べ、今度は率直な疑問をソアラに投げかける。
「でも、どうして私が選ばれたの?私は世界を救えるような力は何も持ってないよ?」
カップを持ったままのソアラは、しばらく考えた後、
「私は分かんないけど、選んだ本人に聞いてみたら?」
と言い、想楽の抱える白本を指し示した。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ