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アリス・スターズ
アリス・スターズ
novelistID. 204
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WHITE BOOK

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 悲しみ。想楽が忘れた感情。それのみを持つ誰かの視点に立っていることが分かった。
 そういえば、私はいつ「悲しみ」をなくしたんだろう?
 夢の彼女――髪の長さから女性と判断した――も、なんらかの原因で悲しみ以外を欠落した。想楽も、記憶にはないが何かがあって悲しみを欠落したのだろう。なんだか、他人とは思えない。
 思い浮かぶのは兄、一保の死。あの時は悲しみが間違いなくあったはずだ。その後から今までの間のどのタイミングなのか。
 携帯の時間は相変わらず5月14日13時50分。電波もなく圏外だ。
 茶髪の男のところに、屋敷と紅茶、背が高いと入力。一番上に改行を加え、そこに「視点=悲しみだけの女性、長い黒髪」と追加する。
 全員の不思議そうな視線を浴びつつ、入力を終えて携帯を閉じた。
「おまたせ。さぁ、行こっか。」
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ