WHITE BOOK
第17章:侵入(Invasion)
隣に背の高い茶髪の男が座っている。
豪華なシャンデリアが下がった屋敷。いい香りのする紅茶のカップを傾け、ふうと息をついた。
「君は、どうして欠落したんだい?」
質問の答えを考える。が、どうしてもその原因が分からず首を振る。
「そうか、覚えていないのか……かわいそうに。」
カップを持っていないほうの手を頭に乗せられる。その手はとても大きく、温かい。
「神は無情だな。悲しみだけを残すなんて。」
くしゃくしゃと頭を撫でると、持っているカップの中の琥珀色が頭に合わせて揺れた。視界に長い黒髪が映る。
「大丈夫さ。君に理解は出来ずとも、未来は明るい。」
指差したほうを見ると、相変わらず豪華なシャンデリアが光を放っていた。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ