WHITE BOOK
「さぁ、最終確認しよう。」
想楽が声をかけると、全員が中央に向き直る。が、美羅乃がなにやら後ろをちらちら気にしているようだ。
「どうした、ミラク?」
「うん、そこの影……。」
美羅乃が指した所から、想楽でも分かる複数の気配。しかし、悪い気配でもないし、あちらは孤児院の奥だ。となると――
「おい、子供はもう寝る時間だぞ。」
院長があきれたように言う。すると、観念した子供が一列になって出てきた。小さい子から想楽と同じくらいの子まで、合わせて6名。先程奥へ連れて行った女の子もいた。
一番大きい子――ディアルで水のスピリチャ族だ――が言う。
「あにきとらんにぃはいいとして、私が寝ないといけない時間なら、団長も頼斗も寝ないといけない時間だよね?」
「うっ……そりゃ、そうかもしれんが……。」
おそらく、年齢の問題だろう。嵐をらんにぃと呼んでいる彼女が頼斗に敬称をつけないとなると、彼女はアリスや頼斗より――当然、彼女らより年下の想楽より――年上なのだろう。鋭いつっこみを受け、ヒュージがたじろいだ。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ