WHITE BOOK
第5章:新時代(epoch)
想楽は、ソアラと名乗った少女に連れられて、最初にいた部屋に戻ってきていた。どうやらここは、ソアラの部屋であるらしい。
ソファーテーブルの上にティーセットが2人分。想楽はソファーに、ソアラは鏡台から引っ張ってきたスツールに座る。
ええと、と口を開いたのはソアラだ。
「まずは、どうして呼んだのか説明しなきゃいけないかな。」
「呼んだ?」
想楽は自分の意思で「行きたいと伝えた」ために、「呼ばれた」認識はない。
「あれ?説得とかされなかった?」
そんなことはない、と想楽は首を振る。
「だって、私が行きたいって言ったから。」
「あぁ、それでか。それじゃ説得も呼んだもないよね。」
ごまかすかのように、ソアラは紅茶を口に含む。
「まぁ、来てくれたにしても無理やり連れてこられたにしてもだけど……あたしが想楽を呼んだ理由は、」
しっかりと間を置いて、ソアラはとんでもない一言を放った。
「想楽が、この世界を救うからだよ。」
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ