WHITE BOOK
大きなビルの間を抜け、途中から高速道路――epochでは空中道路と呼ばれているようだ――に入る。料金所でチケットを受け取っていたので、見せてもらった。
名刺ほどの大きさの白い紙に、印刷された「Libertia-Hope」と、明らかに手書きの数字が並んでいる。おそらくこの手書きの数字はこの料金所に入った時間なのだろうが、字が汚くて14時16分が「74:10」にしか見えない。紙に特殊な加工がされているとも思えないし、これは単に証明のようなものなのだろう。
共団のシルバーの車が、空中道路を軽快に駆けていく。時速は80キロを少し超えるくらいで、最初に出会ったときの頼斗の運転がイレギュラーだったことをようやく理解する。少し気の弱い性格の通り、普段の頼斗は安全運転なのだ。
「ねぇねぇ、想楽お姉ちゃんの家族ってどんな人?」
空中道路のほとんど変わらない景色で暇になったのか、りぼんが話しかけてきた。
「家族?」
「うん、私の家族とどう違うのかなーって。」
聞くと、りぼんは家族全員が警察官。計察木警察というその名前も、計察木家が一家でやっているから付いたらしい。3人姉妹の長女ゆえに高めの位を与えられているりぼんだが、実質やっていることは全員同じとのことだった。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ