WHITE BOOK
「ええと、アリスさん。」
少しして落ち着いたらしいセイファーが、アリスを呼ぶ。
「ん?」
「ええと……。」
少しためらってから、一気にこう言った。
「ワプゲンマゾガッバカ、“ロイヤレイマリア”ピプヒサツ“クフェイリア”ジョグボジョグダニヒズベネニッネトカメタゲンダ?」
……のはいいが、それはセイファー以外の誰にも理解できない――美羅乃が心を読んでも、だ――古代語だった。
あきれたようにソアラが言う。
「あのねセイファー、あたし達は古代語分かんないんだって。」
「メ?」
「セイファーって、あわててると古代語話してる自覚なかったりする?」
想楽も付け加えて指摘してやると、ようやく気付いたようだ。
「あ、またぼくリコチキで話してたんですね。」
どうやら、本当に自覚なしで話していたらしい。
「んで、何だったの、今の?」
アリスが聞き返しても、
「やっぱり……今はいいです。」
とはぐらかされてしまった。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ