WHITE BOOK
しかし、セイファーが何か考え事をしているのは明らかだった。本人はそんな素振りを見せていないつもりなのだろうが、時折見せる表情が、まさしく考え事をするときのそれだからだ。
だからと言って聞くこともできず、救出の作戦も大体決まり、アリスとソアラ、付き添いのフィノンを見送る日が訪れた。
「んじゃ、よろしく頼むね。」
「了解です、団長。」
同じ背丈の3人のうち、黒髪――団長のアリスが、美羅乃に声をかける。そして、その後ろに並んでいる3人の白本の使徒に順番に視線を送り――そして、セイファーで止まる。
「セイファー、あんた考え事好きだねぇ。」
茶化すように笑う。セイファーは、
「そ、そんなことないですよー。」
とあわてて否定した。しかし、それでも何か言いたげな顔は変わらない。アリスに似た顔の茶髪が、それを見てにっこりした。
「あはは、セイファーさんってなんかかわいいね。」
「えっ、ええっ!?」
それは、セイファーの物憂げな表情を吹き飛ばすには十分すぎる言葉だった。意味不明な言葉――おそらく古代語――を立て並べ、PSIの響きを撒き散らすセイファーの姿は、集まったみんなの笑い声を生み出した。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ