WHITE BOOK
「……おーい、想楽ぁ?」
気が付くと、目の前にソアラの顔があった。
「あ、何、ソアラ?」
「なんか急にぶつぶつ言い出したけど、大丈夫?」
「え?」
場所はフリーテアハート総合病院の病室。メンバーはエランドが2人、共団員が3人、白本の使徒が想楽を含めて3人。見渡す限りの草原もないし、ジャケットを着た男はいない。ジャケットを持った病衣の嵐はいるが、あの男は嵐ではなかったはずだ。きっと以前見た夢に出てきた7人のうちの1人だろう。
「私、何か言ってた?」
あの中で、想楽自身は何も話していなかったはずだ。行ったのも首の運動だけ。
「ええと、大切なものを得たとか、人生の最期とか、欠落とか……断片的にしか聞き取れませんでしたけど、そんな感じのことを言っていましたよ。」
美羅乃が言ったのは、全部男の台詞だった。が、テレパシストの彼女が言ったことにより、信じざるを得ない。
「……ごめん、よく分かんないけどぼーっとしてた。」
とりあえず、謝っておくことにした。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ