WHITE BOOK
「えぇっ!?」
それぞれの表現で驚きが示された。
「嵐っ、あんた暗示かかってたの!?」
「あぁ、かかっていた……ではなく、今もかかっている、と言うのが正しいか。」
「らんにぃの言うことに……今まで、1つも嘘はありませんよ。」
美羅乃の一言で納得せざるを得ない。テレパシストは嘘をつくと寿命が縮むらしく、長生きしたいという理由で美羅乃は一切嘘をつかないのだ。
「でも……リーダーはずっと共団を守ってくれましたよね?それでも暗示にかかっているなんて……信じられないです。」
「そうだよ!嵐さんがアリスと一緒に共団作ったんでしょ?」
頼斗とソアラはまだ納得できないらしい。当然だろう、アリスも含めて彼らは、嵐がどれだけ共団のために生きているか、よく知っているのだ。そもそもアリスと共に共団を作り上げた人がいきなりそんなことを言い始めて、信じられるほうがおかしい。
「そう……だろうな。俺自身も、時々暗示がかかっていることを忘れている時がある。エリザにチョーカーを渡された人間が暗示にかかっている、というのはおそらく、チョーカーを通してエリザが暗示をかけているからだろう。俺もそれを外すのに相当苦労した。最終的には無理やり剥ぎ取ったんだが、痛みが強くてな。確か3日間目を覚まさなかったんだったか。」
「――ドドコボジム――。」
嵐がつむぐ言葉の合間に聞こえたのは、セイファーの話す古代語。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ