WHITE BOOK
「うん、結果はどうあれ、確かに賢明な判断だったかもね。」
警官が一般人を傷付けていいはずがない。それはさすがに想楽でも分かることだ。スターシーカーが相手でなければ、セイラルの警察はちゃんと出動するらしい。
「その危機に瀕した俺を救ったのが、スターシーカーだったんだ。」
スターシーカーは、ディアルの集まる場所には必ずと言っていいほど現れる。集落を襲いに来た法力研究員も当然対象だった。研究員も――研究員、ということもあるからか――スターシーカーにはかなわず、何人かは逃げ出し、何人かは捕らえられた。
ひとり残された嵐は、両親の亡骸を前に涙した。失ったものはあまりに多すぎて、泣くことしかできなかったそうだ。
嵐がひとしきり話し終えて、病室が静かになる。
「……。」
想楽は呆然としていた。
なぜ隣で話を聞いているソアラが涙ぐんでいるのか、そしてなぜ後ろからセイファーの啜り泣きが聞こえてくるのか。
何も、分からなかったからだ。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ