WHITE BOOK
りぼんが走り出したのを合図に、車が動き始めた。頼斗の動揺が伝わってくるかのような安全運転は、時速40kmのりぼん――実際その速度で走っているのを見るのは初めてだが、確かに車のスピードメーターは時速40kmだ――に追いつくのがやっとの速度だ。
一番左に座るセイファーは、山吹色の光をちらつかせながら無言でアイリスのページをめくっている。真ん中のソアラは、アリスと頼斗の間から進行方向をじっと見つめたまま動かない。助手席のアリスも、膝に資料を抱えたまま黙っている。車内に会話はなかった。
その空気の中、想楽も考え事を始めていた。
なぜ嵐さんがスターシーカーのチョーカーを持っているんだろう。美姫がなぜこのことを知っていたのかも分からない。そして、この情報が事実であるかも。
――やっぱり、嵐さんに会ってみなければ、結局何も分からないな。
最終的に答えはそこに行き着いた。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ