WHITE BOOK
さて、と仕切り直し。
「昨日、美姫さん――てか、白本の使徒?からもらった手紙ってのは、解読終わったのかな?」
「うん、大丈夫。」
頷く想楽の2つ隣で、セイファーが解読後の文章を取り出す。あれから、原文を想楽が、訳文をセイファーが持っていた。その訳文が、今度はアリスの手に渡る。
真剣な表情――やっと団長らしさの見える顔――で手紙を読むアリスの横顔を、頼斗が心配そうな表情で見つめている。
「その手紙を渡してくれた人はクレスって名乗った。たぶん、サリアさんの白本の使徒だろうね。」
先程の報告では出ていなかったので、そう付け加えておく。表情は変えず頷くアリスにこれも伝えるべきかと思い、頼斗に視線を少し向けてからこう発言した。
「そのクレスも、エリザの暗示をかけられてるみたいだったよ。」
「ええぇっ!?」
想楽と頼斗を除く全員が、立ち上がらんばかりの勢いで叫んだ。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ