WHITE BOOK
まさか、夢にまで出てくるなんて。
当然意味は一寸も解らないが、その言葉がセイファーの母国語――古代語であるということだけは理解できた。
前日、夜遅くまでセイファーと暗号の解読をし、そのたび驚くセイファーがその言葉を使っていたからかもしれない、と想楽は自己完結する。携帯のメモ帳を開き、前回の夢の登場人物の中から水色の翼の女を見つけて、そこに「古代語を話す」と付け加えておいた。
しかし、なぜだろう。
昨日の解読は、団長室を借りてセイファーと2人きりでしていたはずなのに、過去にアランと2人で部屋に残されたときのあの胸の高鳴りはまったくなかった。これは、セイファーを異性としてみることが出来ていないからなのか、それともアランに――
「あぁ、だめだめ。」
頭を振り、雑念を払う。
「まずはアリス達に報告かな。」
顔を洗い、借り物のパジャマから借り物のブラウスとスカートに着替え、赤いシュシュで髪を縛る。鏡で身だしなみを軽く確認してから、朝食をとりにダイニングへ向かった。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ