WHITE BOOK
山吹色の光に照らされた緑色の文字を解読していく。が、あまりに長いため、
「帰ってからでいい?結構時間かかりそうだから。」
先に、本来の目的だった白本術の練習に行くことを提案する。
「それもそうだね。練習の時間なくなっちゃう。」
「分かりました。じゃあそれは想楽さんが預かっておいてください。」
セイファーが響きを解放すると、美姫の暗号も次第に薄くなり、最後には何事もなかったかのように消えた。
スカートのポケットに入れている携帯電話に手紙を挟む。自転車の鍵も、忘れないようにストラップにつけておいた。
「では、行きましょうか。シートベルト締めてくださいね。」
頼斗の指示でシートベルトを装着――セイファーもさすがに覚えたようだ――すると、車はゆっくりと動き始めた。
移動中も、白本術の練習中も、帰り道も。
想楽はあの短時間で解読できた、暗号中頃の一文が気になっていた。
――きょうだんの らんが かぎ――
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ