WHITE BOOK
「えーと……うらに こころの ひかり?」
その文字は、美姫の父親が過去に手がけたゲームの文字。動詞が使われない特徴を持つ、いわゆるゲームのオリジナル言語だった。想楽と美姫はその文字を暗記し――当時のテスト勉強を無視してまで――、2人の暗号として使うようになったのだ。
その文字で書かれていたのは「うらに こころの ひかり」。
「すごい、想楽お姉ちゃん、読めるんだ!」
「あ、うん。この文字を知ってる人は私達以外にも少しいるかも知れないけど、まともに読めるのは私と美姫くらいだと思うよ。」
そう、それを分かっていて美姫はこの文字を使ったはずなのだ。
「うらにこころのひかり、ですかぁ。」
左手に響きをまとわせながら、セイファーが呟く。
「つまり、ぼくの響きをその手紙の裏に当てたらいい、ということでしょうね。」
「うん、たぶん。」
そうしないと読めないようにしたのは、スターシーカーに知られてはいけない内容だからなのだろうか。
手紙をセイファーに渡す。そしてセイファーが、左手の響きを手紙にかざした。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ