WHITE BOOK
止めることもできないまま、トラックは走り去っていく。今回は被害者は1人も出なかったようだ。
雨はいつの間にか小降りになっている。
「大丈夫でしたか、想楽さん、頼斗さん?」
擦りむいたらしいりぼんの膝の治療をしながらセイファーが聞いた。
「はい、おかげさまで被害者も出ずに済みました。」
「セイファーとりぼんちゃんこそ、大丈夫だった?」
「はい。」
「誘拐未遂で逮捕できるレベルだったんだけどなー。」
現役警察官のりぼんはそうぼやくが、下手したらこっちが捕まる状況だったのだ。全員が無事だったことをまずは喜んだ。
セイファーのPSIを利用してできるだけ身体を乾かしてから、停めておいた共団の車に戻る。それから、クレスに渡されてからずっと手の中に握り締めていたものを確認する。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ