WHITE BOOK
エリカの言葉を読むため男から目を離した、その時だった。
「――マリオネットチェイン!」
セイファーのものでもりぼんのものでもない高い声が、少し離れたところから聞こえた。そちらを向くと、白い光の鎖が4本、男に向かって飛んできているところだった。その鎖は男の四肢に1本ずつ巻きつく。反対側はフリルの多く付いた黒い服を着ている女――リリナの右手に繋がっていた。
「うふふ、よく分からないけどお話し合いはそこまでよぉ?」
「しまった……!」
男は必死に抵抗するが、鎖は解ける気配がない。
「雨に注意しろって、こういうことだったのねー。今日はもう帰るわよん。またねー。」
鎖で男を操って――まさしくマリオネットのように――歩かせながら、リリナはトラックに乗り込む。
「待って!」
男が、自由に動かせるらしい首だけをこちらに向ける。
「あなたの名前は?」
「――クレス・アンジェルインだ。」
操られたまま、男――クレスもトラックに乗り込んでいった。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ