WHITE BOOK
「よく分かんねぇけど、雨が降ってる間は頭ん中も身体も言うこと聞くんだ。最低でも俺とサリアはな。」
手の平にある物と男の顔とを交互に見る。チョーカーの金具をいじっている男の右手には、オーブもスパイラルもない。
「雨が降っているから、それを想楽さんに渡せた、ということですか?」
男の背中に頼斗が疑問を投げかける。
「だな。もし晴れてりゃ暗示が渡すことを許さねぇ。それが白本の持ち主同士だからだけどな。」
セイファーが以前言っていた通り、スターシーカーでは美姫がみるむの白本の使徒と思われているらしい。
「美姫は無事なの?」
クフィリア教の言葉が本当なら大丈夫のはずだが、聞かずにはいられない。その質問に男は頷いた。
「地下に閉じ込められちゃいるが、問題はない。俺と違って、暗示もかけられていないな。――てか、あいつ暗示効かねぇらしいんだ。」
美姫に暗示が効かない?
彼女は超能力的なものにはすごく憧れていて、催眠術に一度でいいからかかってみたいなどと言っていたこともある。効きそうなものだが、どういうことなのだろうか。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ