WHITE BOOK
光をふんだんに取り入れる工夫がどこかしこにもされていて、とても明るい。
ダイニングテーブルは4人がけであり、それぞれの椅子に色違いのクッションが置いてあった。テーブルの上には、黄色い花が飾られた一輪挿し。奥のほうにはダイニングキッチンもある。
生活の香りはするが、人はいない。
「出かけてる――のかな?それともやっぱり下に……」
リビングを見回してふと目にとまったのは、キッチンのほうにかけてある時計とカレンダーだった。
近付いてそれを確認する。時計の針は10時18分を指していた。異世界であろうと、時計の読み方に違いはないだろう。
次にカレンダーに目をやったとき、想楽は思わず目を点にしてしまった。
それを見て、少しずつではあるが、疑心が確信に近付いてきているのを感じた。
「愛……の、月?」
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ